金融資産を保有をしていても、もし万が一のことになった時には当然それらの資産は相続という形になります。ただ、相続には相続税という税金が当然かかります。よく聞くのは、大変な資産家であるにもかかわらず、相続税を払うのが嫌で、過少申告をしたりして、税務署からそれはおかしいでしょうという指摘を受けて、追徴されたり、あるいは、告発されるということはよくあることですよね。そうならないためにも、やはり相続税は取られるものだということを知りつつ、資産形成をしていったほうが、結果的には嫌な思いもせずに済むような気がします。今日はそれぞれの金融資産に対して、相続の対象となるのはどこまでかということを考えていきたいと思います。
株式や投資信託の場合
株式の場合、例えばA株式会社の100株をBさんが持っていたとします。Bさんには妻C、子ども2人いた場合に、妻が50株、子どもがそれぞれ25株を法定相続をするというわけではないのです。ではどういう形態になるのかというと、これは遺産分割という手段で相続がなされます。
では、遺産分割とは何かというと、相続の発生によって、被相続人の遺産は相続人全員の共有状態となるため、共有状態となった遺産を各相続人に具体的に配分していく手続が必要となります。これを遺産分割といいます。株式がサイン分割の対象となるのは、結局常に共有という状態では事実上保有が困難であるということもあり、対象となる相続人全員が同意の上で分割をするという仕組みになります。こちらが不調に終わった場合には、まずは家庭裁判所に申し立てをして、そこから最終的に司法の判断に委ねるという流れになります。なお、投資信託も全く同様の扱いとなります。
債権の場合
債権の場合は、まず、債券には色々な種類がありますが、問題はいつの時の価格が課税対象になるのかということです。債券に関しては、国債にしても社債にしても外国債券にしても、基本的には購入時の価格が評価額となり、相続の対象となります。
預金の場合
通常銀行や郵便局に預貯金を持っている人が亡くなったことを知ると、その口座を凍結し、一定の手続きをしないと払い戻しができなくなります。法律的には、相続人から単独で自己の相続分についての払戻請求ができることになります。しかし、実際の銀行実務では、判例の立場とは違って、相続人全員の同意書や遺産分割協議書の提出がなければ相続人1人からの払戻請求には応じていないのが実情です。
では実際にどのような書類等が必要なのかというと、相続人全員が署名押印した遺産分割協議書か、銀行所定の払戻請求書に相続人全員の印鑑証明書を添えて払戻し請求するよう求められます。これは、金融機関としては、種々の理由により二重払いの危惧があることのほか、相続人間のトラブルに巻き込まれたくないということもあるようです。
保険の場合
生命保険の場合には、「500万円×法定相続人」の控除があります。つまり、5000万円の死亡保険金が支払われた場合に、相続人が3人いた場合には、
500万円×3人=1500万円は、非課税になるということで、5000万円から1500万円を差し引いた3500万円が相続税の対象になるということです。
FXの場合
FXの場合は、各事業者のウェブサイトをチェックしてみると、だいたいお問合せくださいという事が書かれていますから、一番いいのは、想像するような状況になった時には、問い合わせをした方がいいかもしれません。
ただ、実際にはどうなのかというと、通常、死亡が確認された時点でオープンのポジションは業者が強制的に口座を凍結します。その時点でロスが出ていた場合には証拠金・預り金と相殺、それで残余があれば財産、相殺しきれない損失があれば債務となります。